少女と悪魔

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バキィ!! 「ギィャャャャャャャャー!!」 突然の喉太い悲鳴で、蝶華は目を開けた。 そこには、自分に近付いてきた『それ』が地面で悶えている姿があった。 そして、目の前に2つの人影があった。 「ねぇ、大丈夫?」 声を掛けられ、慌てて声の主の顔を見る。 中性的な顔立ち・服装をした少年、見た目は蝶華と同い年ぐらいだ。 「まー、いろいろ聞きてーだろうけど、後で聞いてくれ」 首だけこちらに向けてもう1人が言った。 こちらは少し体格が良く、男性であるのがすぐに分かった。だいたい1、2歳上くらいだろうか。 「ググググ…!ジャマガハイッタ…!」 起き上がった『それ』は2人を見ると驚きの表情になった 「ナンデ…!?〔レンゴク〕ガイルンダ…!?」 「レ…レンゴク?」 『それ』の不明な言葉に蝶華は困惑する。 「ああ!それは…」 「んなことより!何でてめぇがここにいんだよ!?」 中性的な少年が説明しようとしたとき、年上風の青年が割り込んだ。 一瞬、少年のこめかみ辺りで何かが切れる音が聞こえた気がした。 「あのさー、俺が説明始めるときに割り込まないでくれる? それにお前こそ何でいるわけ?」 「てめぇの説明なんざ聞きたかねーよ。 俺が何処にいようとお前に関係ねぇだろうが!」 「お前の為の説明じゃないし!じゃあ俺も同じだ!」 「真似すんじゃねぇ!!」 「お前こそすんじゃねーよ!!」 バチバチ… 2人の間に火花が散っているのが、蝶華にも確かに見えた。 「ヒィ、ヒィィィ……!」 2人が火花を散らしているのを見た『それ』は、隙を見て一目散で逃げた。 「あっ…、逃げた…」 蝶華の発言で2人は一端喧嘩を止め、ああっ!!と息ピッタリに声を上げた 「お前のせいだ!!」 「何で俺なんだ!!てめぇだろが!!」 一端止まった喧嘩が、今度は更にヒートアップした。 何が何だか、分からないままの蝶華は茫然と2人の喧嘩を見ているしかない。
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