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暫く間が空いた後、蛇と狐の悲鳴が聞こえた。
「キャアァァァァー!!どうしたのエンヴィー!?」
「グリード!!大丈夫か!?しっかりしろー!!」
蛇と狐はあたふたと2人の上を飛び回 る。
「あああっ!やっぱり最近何も食べなかったのがいけなかったんだわ!!」
「一睡もしなかったのを止めときゃあこんなことにー!!」
唖然としていた蝶華だったが、ずっと叫び続けるストラップに苛立ちが積る。
ガシッ!
「??」
キャアキャア悲鳴を上げる蛇と狐を掴むと、両腕をブンブンと振り回した。
暫く腕を回した後、蛇と狐を見ると、何も喋らず目を回していた。
「…とりあえず家に運ぶので手伝ってください…」
「…ヘッ…?」
拍子抜けする蛇と狐。
「こんな所で倒れられていても私が困るし、先程助けて頂いたお礼も兼ねてとりあえず家に運びます…」
蝶華の言葉にストラップは何も言わずプルプル震えた。
「…?…どうしたんですか?」
「…あ…」
「あ?」
「ありがとうございますぅ!!」
「感謝です女神!!ありがとうビーナス!!」
蛇と狐はブワッと泣き出して蝶華に飛び付いた。
「はぁ~!こんないい人が“シン”なら安心だわ~~!!」
「アンタ恩人だ!本当、感謝感激雨あられ!」
泣きながら蛇と狐は礼を言う。
やれやれ…と蝶華はストラップを剥がす。
(そういえば、“シン”って何のことだろう?
さっきの〔レンゴク〕も何のことかまだ分からないし…)
そう思ったが、そのことは家で聞こうと考え、蝶華は倒れている2人の傍に寄った。
このとき、蝶華は知らなかった。
自分を助けたこの2人が何者なのか、
〔レンゴク〕が何のことか、“シン”とは何かを……
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