パーティーと魔兎

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「「蝶華!!」」 「!」 自分の名前を呼ばれ、蝶華は頭を上げた。 蝶華が見たのは、先程までの険しい顔と一変し、穏やかに笑うエンヴィーとグリードの顔だった。 「俺らが負けると思った?蝶華は俺らが強いの知ってる筈なのに、酷いなぁ」 「安心しろ。お前が『負けない』と思えば、俺らは『負けない』から」 そう言ったエンヴィーとグリードは、蝶華の頬に頬擦りをした。飼い犬が飼い主に寄り添うよりに。 「……っ…!」 頬に感じるエンヴィーとグリードの体温がとても心地よく、蝶華の中にあった不安と恐怖は、自然と少しずつ小さくなっていった。 「……ごめん、エンヴィー、グリード…」 エンヴィーとグリードが顔を離すと、蝶華はポツリと言う。 「知ってるよ、2人が強いの…だから、私は『負けない』と信じるから… 勝て!絶対に」 不安と恐怖が無くなった訳ではない。 しかし、蝶華は笑顔で言った。エンヴィーとグリードを信じるからこそ… エンヴィーとグリードは、『約束』をしたときと同じ笑顔で蝶華の言葉に返事をした。 「あすか、どうして待ってるの? まだそんなに強くないだろうけど、あっちは2体よ…殺るなら今がいいわ」 鏡子が苛立ちながらあすかに言うと、あすかは首を横に振る。そして鏡子の肩にいるビャクに問いかける。 「ビャク、貴方の魔名は名乗ったんでしょ?」 「イエス、ライダー。貴方の指示通りに、私の魔名を名乗りました」 「成程、宣戦布告はもうしたってわけか…」 ビャクの言葉にキィは舌打ちをする。
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