傷痕と『色欲』

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~~~~ 悪魔達は、二階建ての店の上で戦っていた。 あすかは人間では不可能な高さまで飛び上がり、エンヴィーとグリード目掛けて踵落としを食らわす。 「うわっ!」 「くっ!」 ドゴンッ! 間一髪避けたエンヴィーとグリードだったが、彼らがいた場所のコンクリートが砕かれていた。 「ハアッ!」 凄まじい速さで接近しあすかの繰り出す回し蹴りを、バク転で避ける。 「いや~、ラストが兎なんて想像してなかったな~」 あすかと距離を保ち、エンヴィーが言う。 「ああ…もっと肉食の動物かと思ってたぜ、ラストさんよ?」 エンヴィーの軽口にグリードが乗る。当のあすかはしかめっ面で黙ったままだ。 「兎って…月の兎を思い出すね」 「いやいや、ラストならバニーガールだろ♪」 「あはは!本当だ!」 「…いい加減、黙りなさい!」 黙っていたあすかは彼らの会話に苛立ち、接近し大振りの回し蹴りを繰り出した。 「わっ!」 笑っていたエンヴィーとグリードは慌てては回し蹴りを避ける。 「っとに…危ねぇな!」 反撃と言わんばかりに、あすかの隙をつきグリードが爪で狙う。 「くっ!」 グリードの攻撃にあすかが気付き、右拳でグリードの頬を殴った。 「…っんの野郎…!」 睨み付けるグリードを、あすかはすかさず横から左脚で蹴りつけた。 「ぐっ!」 右腕でガードするが、蹴りの衝撃が強く、グリードは店の下に落下した。 「グリード!」 エンヴィーは急いで店の下を見るが砂ぼこりが立ち、グリードの姿が見えない。
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