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居間では、エンヴィーと青年が寝息を立てており、その横にスイと狐がちょこんと座っていた。
チャーハンを机に置くと、狐がくんくんと匂いを嗅ぐ。
こちらも改めて見ると、フワッとした黄色い毛は足先だけ茶色く、瞳は灯りで元より黄色く輝いていた。
「これ、うまそうだな」
「小皿に入れたから量はちょうどいい位だと思います。えっと…」
「あっ!俺キィって名前!よろしくな」
キィは小皿の焼き飯をガツガツ食べ始めた。
「『黄色い』からですか?」
「さぁ~?グリードが名付けたから分からねぇ。起きたら聞いてみろよ」
どうやら青年の方はグリードというらしい。
「まぁ、起きたら『グリード』じゃなくなるけどな…」
キィはポツリと寂しげな顔で言うとまた焼き飯をガツガツ食べ始めた。
「スイさんも同じようなことを言っていましたけど、その『エンヴィー』と『グリード』がこの2人の名前ですよね?
起きたら名前が変わってしまうっていうことですか?」
「敬語じゃなくていいのに~。あ、おいしい♪」
スイはもう1つの小皿のチャーハンを美味しそうに食べていた。
「正しくは“シンから名を貰う”んだ」
チャーハンを食べ終えたキィがそう言った。
「シンから?」
「そう」
「…さっきも気になったんですけど、
“シン”って何ですか?」
「…キィ、私達のことが分からない人に“契約の条件”を言っても分からないわよ…」
スイはやれやれと言わんばかりの飽きれ顔だ。
スイの発言に苛立ちを覚えたキィだったが、更に混乱している蝶華に説明を始めた。
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