傷痕と『色欲』

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すると、エンヴィーの左腕がだんだん長く緑色の鱗に覆われていき、身長と同じくらいの獰猛な蛇に変わった。次にグリードは毛並みの良い狼の尻尾が固い銃身に変わり、黒色の拳銃の形に変わった。 蝶華は、エンヴィーとグリードの身体の部分的変化に驚く。恐怖した訳ではない、素直に彼らの変化に驚いたのだ。 (こいつら、こんなことも出来るのか…!) 「ほぉら、お望み通りに魔法を使ったよ」 「俺らの魔法でお前の魔法は真似出来ねぇが、ラストの〈虜〉も俺らにあんまり効かねぇから五分だな」 エンヴィーとグリードはそう言いながら、インプ達の中に突っ込んだ。 持ち前の俊足でインプ達に近付いたエンヴィーは、鋭い爪と牙でインプを次々と消していく。 離れた場所にいるインプを見つけると、左腕の蛇を伸ばす。蛇は物凄い速さでインプに巻き付くと頭から噛み付き、首を噛み千切り、頭を丸呑みした。 グリードも負けじと俊足で近付き、爪と牙、尻尾の銃でインプを消す。 グリードがインプの首に噛み付くと、他のインプが背後から飛びかかってきた。 ダンッ! 尻尾の銃が撃った銃弾が頭を貫通し、死体と化したインプはグリードに触れることなく地面に落ちた。 蝶華は、以前より上がったエンヴィーとグリードの力に驚き、鏡子は、想像以上のエンヴィーとグリードの力に唖然とした。 たくさんの死体から飛び散る血飛沫はエンヴィーとグリードだけでなく、あすかも赤く染める。互いに目が合った悪魔達は、狂気に取り憑かれたように静かに笑う。 この姿を“悪魔”と呼ぶ以外、何と呼べるだろうか…
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