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ビャクはギリギリ…と歯を鳴らす。
「…何故、ガールは2体にあの名を与えた…?」
「蝶華のことか?
俺達は昔の話をしただけで、名は蝶華が与えた。与えろとは言ってない、蝶華の意思…そしてアイツらは自分達の意思で受け取ったんだ」
「…っ!ライダーはあの名で今も苦しんでいる!
鏡子と“あすか”の名でこの1年半近くを何とか乗り越えてきた!!名を棄てた苦しみを!!
なのに…!!」
ビャクは怒りを抑えながら言った。
「数ヶ月前、他クラスに可笑しな名前の双子が転校してきたと鏡子が言い…双子の名前を聞いたときのライダーの表情は忘れない…!」
ビャクの脳裏に、安堵と罪悪感の混じったあすかの顔が現れる。名をそのまま当て字にした偽名は〔煉獄〕にとってはすぐに分かるはずだ。
あすかの思いを知るビャクにとって、“ラスト”の名は二度と触れたくなかった。
「…よく言う。
他の〔煉獄〕も、それに仕えるお前達も…死刑覚悟で聖名を名乗ったエンヴィーとグリードを、我が身可愛さに簡単に見捨てたくせに!
んな苦しみ、自業自得じゃねぇか!!」
怒り狂うキィは無意識に四肢に力を込める。四肢のコンクリートは小さくへこみ、人間の肩に乗れる程の身体から考えられない力だった。
「んだと…?ライダーの思いを知らない狐が……!!」
怒りを抑えられなくなったビャクは口調が変わり、近くにあったガラス製の 机の蹴り飛ばした。かなり重みのある机は部屋の奥まで飛び、破片と化した。
彩魔達は互いに睨み、互いの喉元に狙いを定める。
ドゴンッ!
睨み合うキィとビャクが音の方を見ると、尻尾をコンクリートに叩き付け、コンクリートを砕いたスイがいた。
「…今は、主達の決闘の最中よ…」
スイの言葉に、彩魔達は我に返る。
「私達がガタガタ言ったって仕方ないわ。彼らが解決しないと……」
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