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「あー、単刀直入に言うと、お前を襲った化け物は“悪魔”だ」
「悪…魔……」
「まぁ、いきなりそんなことを言われたても簡単に納得出来ないと思うけどな」
「……いいえ、信じます…
自動販売機を簡単に壊して、自分を殺そうとしたアレが人間じゃないことは、私も見ましたから…」
恐怖が甦り、身震いする。
もしあのとき、エンヴィーとグリード助けがなかったら、今自分は生きていない。
「まぁ、悪魔っても下級だから弱いと言っちゃ弱いんだ」
「下級…?悪魔って階級があるんですか?」
「そうよ。下級悪魔は主に生き物に憑いて操るぐらいしか出来ないけど、人間は陰陽師やエクソシストとかじゃないと対抗出来ないわ」
キィに向けた質問をスイが答えた。
「もっと言うと、下級悪魔は悪魔の住む魔界から、勝手に貴方達の住む下界には降りてきたらいけないの」
「どうしてですか?」
「だって、そんなこと許したらほとんどの下級悪魔が下界に降りてくるわ。
悪魔は欲を好む。故に人間は格好の鴨なの。
魔界同様、天使の住む天界もあるし、悪魔を止めに下級天使も同じくらい下界に降りてきたら大変よ」
スイの話を聞き、蝶華は下級悪魔が勝手に下界に降りることを禁じてあることを有難く感じる。
あんな化け物、多勢で来られれば人類などあっという間に滅亡するに決まっている。
「勝手に下界に降りた下級悪魔は魔王直々に裁かれるわ」
「な、成る程…」
下級悪魔、魔界、天界、魔王…
どれも現実的にありえない、物語の中だけの存在。
そんなもの簡単に信じられるはずはないが、事実、自分は悪魔を見たのだ。
蝶華は自分の知らない所で魔界やら天界やらが存在することを納得せざるえなかった。
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