少女と悪魔

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~~~~ 暗く、とても広い部屋。 外には赤い満月が姿を現し、窓から差すその月光だけが唯一の明かりだ。 その奥で、月光に照らされた2つの人影。 1つは豪華絢爛な装飾の施された玉座に腰掛けている、権力者の威厳を感じさせる男。 もう1つは、その男の側近であろう者。赤の光以外は真っ暗な部屋で、彼等の密談が行われていた。 男は赤ワインの注がれたグラスを見つめながら、側近に問いかける。 「下級悪魔達の動きはどうだ?」 「はい、今だ溢れ出ている魔力により下界に降りる下級悪魔の数は増え、下級悪魔達の下界での動きは更に過激になりつつあります…」 「そうか」 男は報告を聞き、面倒と言わんばかりに溜め息をつく。 沈黙が少し続き、男が口を開いた。 「考えたのだが、下界にいる下級悪魔達を一掃…上級悪魔の餌にするのはどうだ?」 「何を言うのです…!?正気ですか!」 側近は男の言葉に反論する。 「貴方は下界で、同族に共食いをさせるつもりか…!?」 「魔力を溜めた下級悪魔は力が強くなり更に人間に憑きやすいが、肥えた者程上級悪魔の格好の餌となる。 それに、悪魔同士の喰い合いなど珍しくない。ここは弱肉強食の世界…貴様も何度も見ただろう?」 男は手に持つグラスを回し、血のようなワインを一気に飲み干す。 「安心しろ、一掃は〔煉獄〕に任せる。奴等なら人間に害はなさない。 下級悪魔達を排除させると同時に、餌を与え、力を持たせれば、余の創る世界の最強の剣となるだろう…」
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