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ある少年がいた。
彼は物心ついたときから両親に暴力を受けていた。
幸い警察に保護され、養護施設に行くことになったが、顔をボンヤリとしか覚えていない両親が『いらない』と自分に言っていたのは覚えていた。
小学校に入学する前に、子供の出来ない夫婦に引き取られた。
本当の両親と違い、優しい夫婦と過ごし、自分を養子だと忘れるぐらい、少年は幸せだった。
しかし、幸せだった少年を、現実が壊した…
少年は小学校に入学した。
少年は喧嘩が苦手だったが、同じく喧嘩の苦手で柔道を習う友達が出来た。少年は友達と遊ぶのが楽しかった。
そこまでは良かった。
次第に彼は『養子』という理由で苛めらるようになった。
非力の少年はやり返すことも出来ず、柔道を習う友達によく助けてもらっていた。
少年はそれを夫婦に相談出来ず、6年生まで苛めら続けた。
いつしか彼は本当の両親を、いじめをする奴らを、非力の自分を怒り恨んだ。
ぶつけることの出来ない恨みを毎夜自室で呟き続けた
どうして自分だけ不幸なのか?
どうして自分は助けてもらうばかりの弱虫なのか?
どうして自分は夫婦の本当の子供じゃないのか?
どうして自分は養子なのか?
どうして両親は自分を虐待して『いらない』と言ったのか?
少年は拳を握りしめ、涙を流し自問自答を繰り返した。
少年に救いの手は無く、苦痛の日々は少年の心を壊すのには十分だった。
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