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“…私にとって、この世で生きることは地獄かもしれない”
晴天の空を見つめ、少女はふと思った。
県立頴華学園高等学校。
一学年約90人とあまり多いとは言えないが、明治から続く伝統ある、また個性的な学校として毎年自ら進んで来る生徒が多い。
そんな頴華学園のある教室、「2年C組」
今は担任である金城 虎次郎の生物の授業の真っ最中だった。
「はーい、ここの問題分かるヤツ~?」
「先生ーわかんないよー!」
「だろーな、だって応用だもん。
んじゃ、真ん前で寝てた谷本よろしく~」
「えええっー!!先生ひっでぇー!!!」
「うっせー!俺の授業で寝てたお前が悪いっ!」
「ドンマイ谷本!」
生徒達の笑い声が2年C組の教室に響く。
まだ教師として経験が浅い虎次郎だが生徒から人気があり、多くの頴華生徒は「他の授業はともかく生物は好成績」というパターンが多い
「虎先生~、マジ謝るから!こんな問題ムリ!!」
「『金城大先生』だっー言ってんだろ!!」
スコーン!
虎次郎が教科書の背で谷本の頭を叩いた音が響いた後、再び生徒達の笑い声が響いた。
しかし、この楽しそうな輪に入らず、窓の外を見ている生徒がいる。
「おーい、黒神~」
虎次郎がその生徒を呼ぶと、先程まで笑っていた生徒達の雰囲気が変わった。
「はい」
呼ばれた生徒、黒神 蝶華は凛とした声で返事をした。
「外に面白いもんかなんかあったか?」
「…いいえ、ただ外を見てただけです。」
「…ふーん、まぁ呼んだついでだしこの問題やってもらっていいか?」
「はい」
蝶華は席を立って黒板の前に行き、チョークを取りなんの躊躇なく解答を書いていく。
「黒神、お前ずっと外見てただろ?」
虎次郎は教科書で口元を隠し小声で話しかけた。
「はい…でも先生の話は聞いてましたし、ノートも全部書いてます」
蝶華も書く手を止めずに小声で答えた。
相変わらず優秀な生徒だ…虎次郎はそう考えずにいられなかった。
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