少女と悪魔

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「はーい、大正解~みんな黒神に拍手~」 “難題を見事解答した生徒には全員で拍手、間違ったら全員で励ます" これが虎次郎の授業のお約束なのだ。 現に生徒達はそのお約束を守っているが、蝶華に関してはこのお約束はない。 虎次郎もやれやれと両手を上げ、お手上げだと表情に出した。 虎次郎もその理由は分かっていた。 容姿端麗、文武両道…蝶華はまさにその言葉通りだった。 美しい長い黒髪、整った顔立ち、更にテストは学年1位…この前の体育は、強くもないくせ挑発してきた陸上部部員も余裕で上回ってみせたという… 蝶華は、生徒達の欲しいものを持ち、妬まれているのだ。 頴華学園は3年間担任が変わらないので、虎次郎は入学して1ヶ月で周りから孤立した蝶華をさりげなく気に掛けていた。 しかし、虎次郎が蝶華を気に掛けていることを他の生徒達も薄々感じており、更に蝶華の孤立に影響が出ていることが虎次郎の悩みの種だった。 “俺が間に入るより黒神から皆に寄るのが良いんだろうけどな…” 虎次郎も分かってはいた、だが、当の蝶華は誰にも近付こうとしない。 “もう、私に気に掛けなくて結構ですから…” 自分の席に戻った少女が昨日言った言葉は、まるで誰かといることを拒むようだった。 虎次郎の思考を遮るように、終了のチャイムがなった。
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