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放課後、蝶華は図書室にいた。
頴華学園の図書室は教室3つ分ととても広く、天井まで届くたくさんの本棚に本がほとんど隙間なく収まっていた。
その図書室で、蝶華は休み時間に読む本を探している。
入学後1ヶ月で孤立して休み時間は本を読み続けていた為、『多すぎて3年間で絶対読み終わらない』と有名な図書室の本を、蝶華は半分近く読み終えていた。
ふと、蝶華はある本を見つけた。
「『七つの大罪』?」
蝶華はその本を手に取る。古い本で〈SEVEN SIN〉と紫色で書いてあり、表紙の絵は七つの王冠が描かれていた。
何気無くパラパラとページをめくる。
『七つの大罪とは、傲慢、嫉妬、憤怒、怠惰、強欲、暴食、色欲…の人間を罪に導く7つの感情である』
何故かそう書いてあるページで指が止まった。
(私は全部当てはまらないな…)
本を閉じ、時計を確認して蝶華は焦る。
「嘘!?もうこんな時間!急がないと…!」
蝶華が本を元の場所にもどそうとしたときだった。
「あ、黒神さん」
背後からの声に驚き振り返ると、おっとりした大和撫子、3年図書委員の川崎 小町だった。
「ふーん、黒神さんってそういう本が好きなんだ~。雰囲気は似合うわね」
川崎は蝶華と本を交互に見ながら1人で喋る。
「そうだ、黒神さんその本貰ってくれない?」
「いや、好きじゃなくて気になっただけで…それにこれ図書室の…」
「いいのよ、その本古いし怖そうって誰も借りないの。
仕方なく処分することになったんだけど、黒神さんが気になるんだったらあげるわ」
「いや、だから……!」
一方的な川崎の提案を何とか断ろうとする蝶華…しかし、彼女の優しそうな顔を見ていると蝶華は断りきれなくなり、結局本を貰ったのだった。
(…なんか、面倒を押しつけられた気がする……)
そう思いながら、蝶華は学校を全力疾走で飛び出し、バイト先兼買い出し先のスーパーへ向かった。
給料が意外に良く、バイト後にそのまま買い出しが出来るので蝶華はこのバイトが結構好きだった。
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