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バイトを終え買い出しをした後、パートの女性達が蝶華の周りに集まってきた。
「蝶華ちゃん、これ良かったら食べてね」
「オバチャン、蝶ちゃんが元気出せるようトマト持ってきたわ」
女性達は肉じゃがの入ったタッパーやら野菜やらをこれでもかと言うように蝶華に差し出す。
「すいません…こんなに頂いて…」
「いいのよ、気にしなくて~」
「蝶華ちゃん本好きでしょ?カバー作ったのよ。
今時の子が使うにはダサいかもしれないけど、また違う物持ってくるわね」
「いいえ、こんなに可愛いカバー、ありがとうございます」
蝶華はこの女性達のあまりの世話焼きに鬱陶しく感じるときもあるが、嫌いではなかった。むしろ、こんなに自分を思って何かしてもらい嬉しかった。
しかし同時に、女性達の優しい笑顔を見て、本当はここに自分がいてはならないことを思い出す。
(…ああ…この人達と、私は違うんだ……)
嬉しさ、同時に突き刺さる罪悪感。
2つの感情を抱えながらスーパーを後にし、鞄、買い物袋と女性達から貰っていた品を入れた予備のバックを手に蝶華は自宅に向かった。
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