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日が沈み街灯の灯りがだんだん増えていく、人気の無い路地。
「はぁ…!はぁ…!はぁ……!」
蝶華は『何か』に追われていた。
スーパーを出てすぐに自分をつける『何か』に、最初は歩くスピードを上げ息が荒くなっていたが、『何か』からは息が荒くなっているのが感じられなかった。
増していく恐怖、蝶華は走り出した。
近くに交番などがなく、蝶華はどんどん袋小路に追い込まれていってるのが分かる。
そして、とうとう行き止まりに来てしまった。
『何か』が後ろで立ち止まるのを感じた。
恐怖心はどんどん大きくなっている。
しかしいつまでも背を向けていれば簡単に襲われる、危機を認知した本能が頭の中で呟く。それに、自分を追う者は一体どんな奴なのか知りたい…
拳を握り締め、覚悟を決めた蝶華は振り返った。
「えっ………!?」
絶句、蝶華は自分の見たものが嘘であることを願った。
『それ』は2メートルはあろう全身を毛に覆われ、頭に角、尖った耳、肉食獣のような牙、鋭い爪、背中から尖った突起のある羽があった。
「あ……悪魔………!!」
そう、神話や映画で出てくる恐ろしい姿、悪魔のような化け物が自分の後ろにいたのだ。
蝶華は座り込んでしまい動けなくなった。
それを見た『それ』はニヤリと笑う。
「“クロカミ チョウカ"…、イラナイヤツ…ジャマナヤツ……!コロス…」
化け物はニヤニヤと笑いながら蝶華に近づく。
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