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「君、幼なじみ守る為だからって…素人を投げ飛ばして良い訳じゃないんだよ」
「はい…分かってます」
中学生の秋は、警察署にいた。
「アキ!!」
警官に注意されている秋に、中学生の蝶華が駆け寄る。
「…2人共、家の人が来るまで待っているんだよ」
2人を気遣い、警官はその場を離れた。
「大丈夫か?チョウ」
秋は笑って問うが、出来事はそんなものではなかった。
次に財産を狙って来たのは、クラスメイトの親だった。
子供を蝶華に近付け、そこから少しずつ自分達と気付け、最後には財産どころか黒神の会社も買収しようとしていたのだ。
祖父が亡くなってから財産相続は蝶華であると知られたが、当時は親戚も蝶華に近付こうとしなかった。だが黒神財閥社長が大切にする孫娘を丸め込めばどうにかなると、外部は思ったのかもしれない。
しかし、蝶華も簡単に丸め込まれるはずもない。
この時点で何度も裏切りは受けた。人を信じれなくなった訳ではなかったが、少しずつ違和感を感じ、疑い…確信になり逃げ出した。
しかし気付かれ車で無理矢理連れて行かれそうになったときは終わりだと思った。部活帰りの秋が見つけなければ…
「…何が…大丈夫かだ…!?」
蝶華は秋を睨み付ける。
「あんなことして相手が怪我してたら、お前が捕まっていたかもしれないんだぞ!!」
「何言ってんだ……!!」
その言葉を聞き、秋は怒り蝶華の肩を掴む。
「お前、あのままだったらどうなっていたか分からないんだぞ!!
人の心配より自分の心配しろよ!!」
秋が怒鳴ると、蝶華はビクリと怯える。カタカタ震える蝶華を見て、秋は我に返り手を離す。
「ごめん…怖かったのはチョウだよな…なのに…!」
「大丈夫…だよ」
そう言って、震える肩を抱き蝶華は無理に笑う。
(もう…もう二度と、チョウをこんな目に合わせてたまるか……!
チョウは、俺が守るんだ……!!)
このとき、少年は誓った。この目の前の少女を自分が守る…と。
何人足りとも蝶華を傷つける者を近づけない…例え酷い奴と言われても、自分が傷つくことも厭わないこの優しい蝶華を守る…そう誓ったのだ。
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