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源さんが、見学している生徒に向かって、語りだす・・
「いいか・・この木は生きている・・・
ここに立っている木は、まだ呼吸もしているし、水を吸い上げて、光合成を行って、自分の体を作って成長しているんだ・・
生きている限りは、今、温暖化問題で話題になっている二酸化炭素を吸い込んで、酸素を吐き出す・・
人間の生活のために、無くてはならない営みだ。
この木は、君達のご両親よりも、長く生きている・・
1年・1年、成長をして、年輪を重ね、この太さになるまで五十年以上は、この場に立っているだろう・・
まだ、これから100年、200年と生きる権利がある!
でも、私は、
その木の命を、これから、絶つ!」
チェーンソーを握りしめている源さん。
そのチェーンソーをサトシ君の目の前に差し出す。
ヌッと突き出された刃先に、サトシ君はひるんだ・・・
さっき、拓夢君に意地悪をしていたのを見られて、それを戒めようというのだろうか・・・
「君は、今、自分の命が絶たれると知ったらどうする?」
「え?」
「君には、ご両親が居る。家族が、恋人も居るかもしれない・・・
でも・・
今、この場で、私が君を殺すと言われたら、どうする?」
その言葉に、ビビるサトシ君・・
後ろの方へ小走りに逃げ出し、一年生の集団の後ろへと身を隠す。
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