ー 第二十章 ー

9/11
393人が本棚に入れています
本棚に追加
/537ページ
 その言葉に、ハッとする。確かに、咲夜の言うことは尤もであった。  通常。人を斬った後、抜き身のままで、刀を持ち歩く者は、まずいない。普通は鞘に納める筈だ。  それに、鞘を『置き忘れる為』には、わざわざ腰から、『鞘ごと』刀を抜かねばならぬ。  そもそも。鞘自体のこととて、同じことだ。刀自身のことならばともかく、原田と同じ拵えの鞘など、それこそ『掃いて捨てる』ほどあるだろう。 ー咲夜の帯びる『黒帝』と『白王』・千鶴の帯びる  『小通連』など、でない以外はー  原田の鞘は、何処にでもあるような、誰で持っていそうな、何の変哲もない拵えのもの。 そんなものを、見ただけでわかるとは思えない。『接点』や『面識』がないならば、尚更であろう。 咲夜 「つまり。『坂本』や『新選組』を排除しようとし、尚且つ『現場にあった鞘』を、左之助のものだと『証言』出来る者など、限られていようが。」  いい様、咲夜はニヤリと笑った。思わず『ゾクリッ』とするような表情で……………。 沖田 「………ねぇ、咲夜ちゃん。それって、やっぱり『御陵衛士』なんじゃない?」 咲夜 「…………それしかない、だろうな…………。」
/537ページ

最初のコメントを投稿しよう!