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「―――ぉい、てめぇ、起きやがれっ!!」
「ぅあッ!?」
頬を乱暴に打つ感覚に目覚める。いつの間にか、気絶していたようだ。
―――身体の上に、不良を乗せたまま?…最悪だ…。
「ここは、どこなんだよっ!!お前、何者なんだよぉおおっ!!」
不良の泣き叫ぶような声に驚きながら、私は倒れたまま周囲を見回した。
赤い土が風で埃を巻き上げながら流されていく。一面、赤土の荒野、だ。枯れ木のようなものもぽそぽそと生えてはいるが、肥沃な土地というものではない。
「…繁華街の路地裏にいたはずなのに……ここは…どこ…?」
「お前も知らないとか!何なんだよ!」
不良は八つ当たり気味に私を殴って、蹴ってを繰り返す。痛い。考えたいのに、考えられなくなるからやめて欲しい。
「…おい、そいつを蹴っても何も出て来やしねーだろ。……何も持ってなかったし。」
「でもよぉ!絶対こいつのせいだろ!あの変な光はこいつの真下から出てたんだぜ!?」
「そりゃそうだけどよ…。」
どうやら不良は二人いたらしい。……形勢、不利。まぁ、元々勝てるとは思っていない。
「なぁ、本当に何も知らねーの。ここがどこだ、とか、あの光は何だ、とか」
…こちらの不良はもう一人より話せそうだ。起き上がって答えようとしたが、腹部に強烈な痛みが走ってそれすら叶わない。
力なく首を横に振ると、そうか、とその不良は私に近付く。
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