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「あの、やっぱりまずくないですか?僕たちだけでやる、なんて」
建物の地下であろう一室で淡い緑色をした髪の少年は、目の前で祭礼の道具をいじる金髪の青年に声をかけた。
青年は手に持ったランプで周辺を照らしながら答える。
「何言ってるんだ。俺たちがやらないといけないことぐらい分かるだろう」
「せめてこういうのに詳しい人呼んで来ましょうよー。僕、女王様の部屋に行って来ましょうか?」
少年が仕方ないな、とため息を吐きながらそう提案すると青年は何かを探すような手をぴたりと止めて、少年を不機嫌な表情で振り返る。
「何だ?あの、女王の家畜を呼んで来る気か!?俺は断固反対だ!あいつがもたもたしているから、俺たちが代わりに動いているんだぞ!?」
「じゃあ、術士の方は?」
「あいつも嫌だ!この前も俺に『寄るな触るな近付くな。お前と喋ってると頭悪くなる』とか言いやがったんだぞ!」
「いや、それは…」
あなたもかなり暴言吐いてたからじゃないですか、とは言えず少年は呆れ顔で視線を背けた。
青年は少年のその様子に気付かずにまた目当てのものを探し始める。
「…こういう時頼りになる人は今倒れちまってるし…。こんな時だから俺たちが頑張らなきゃダメだろ!」
「……はぁ…。仕方ないなぁ…。」
まずいことになったら全部この人のせいにしようっと。
少年はそんなことを思いながら青年と共に目当てのものを探し始めた。
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