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「この女ッ!」
「きゃっ!」
不良の一人が奏を突き飛ばす。奏は再び壁に追い詰められ、尻餅までついてしまう。
そこに、不良たちは迫る。ある者はにやにやと薄ら笑い、ある者は怒気を露にし、ある者は奏を蔑んだ目で見下ろした。
「調子にのんなよ、お前」
声をあげないよう顔…というより口をぐっと掴まれ、恐怖で手足が伸びる。伸びたところに、顔を掴んでいる不良は奏に体重をかけた。
「ったく、お友だちを逃がしてくれちゃったりなんかするから、こんなことになるんだよ?」
「ンンッ、ンン―――――ッ!?」
不良の手が、奏のセーラー服の襟を掴んで思い切り引っ張られる。セーラー服の前面は無残にも開かれ、下着やらが露となる。
それを眺める不良たちは楽しそうにひゅう、と口笛を吹いた。
「おい、ちゃんと俺たちにも回せよ?」
「わーってるって。じゃ、教育するかぁ…」
奏の手足は既に恐怖で萎縮しているし、不良たちは萌黄が帰ってこないと思っているようだ。
萌黄がいつ帰るかは奏にも分からない。帰って来るにしろ、来ないにしろ、それまでの間に奏自身はどうなるのだろう。
「じゃ、いただき――――…」
その時だった。
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