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「専門的、見地からするとォ大脳が眠りを感知するとォ・・・・」
専門用語をスラスラと並べ、空になった中ジョッキの替わりに紹興酒とバンバンジーを注文しながら10分ほど講釈が続いた。
彼女の得意げな顔を見ながら、(そうだ気のせいだ)と考えながら、時計を見るともう11時を回っていた。
バンバンジーと紹興酒を運んで来たチャイナドレスの店員がラストオーダーを告げ、紹興酒で最後の乾杯をした後、真央を送って行こうと「ところで、宿は何処?」と聞いた。
すると、真央は突然下を向き両手はダラリと椅子の下に垂らし、よく聞こえない声でゴモゴモと小学生が怒られて、言い訳するように何事かを言い始めた。
「え?何?聞こえネー」「・・・ゴモゴモ」「なに?・・・は?」
突然顔を上げた真央は、開き直ったように
「止まる所無いの!実は研修も嘘。
会いたくて着ちゃったの。
だから泊めて!」 思わず頭が真っ白になった・・・。
グスグスと半べそをかきながら、Tシャツの端をつまんで付いて来る真央は、家には東京の女友達の所へ行くと出て来たらしい。
この時間ではホテルはもう取れなし俺も自分の部屋へ連れて行くにしても、とても女子を泊める環境では無いのである。
「真央・・・ラブホで良いんだな?本当に?」
コクリと頭を動かすだけで、何も言わない。
ラブホテルの多い通りをすれ違う人達をチラチラ気にしながら歩くと、向こうもソソクサとしているのだが、さすがにグスグスと半泣きの女が男の後を歩く連れは、かなり目立ってはずかしかった。
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