幸せの余韻と失う者

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午前11時、二人はチェックアウトした後、秋葉原の近くで遅いモーニングセットを食べていた。 恥ずかしいのか、真央は目が合うと照れた顔で笑ってくれた。 今日も休みなので、真央を秋葉原の有名スポットに案内する事になった。 だが、どのタイミングで、実は大学生では無いと告げようかと、機会をうかがっていたのだが、なかなか言い出せないでいた。 喫茶店を出て、本屋で秋葉原のガイドブックを買い反対側の商店街から、人があふれる歩行者天国に向う。 相変わらずアニメ声の真央は歩きながら、取り留めの無い事を喋りながら「そうでしょ?そうだよね?」と連発するが、こちらの意見を聞くひまもなく次の話題へ行ってしまう。 よく回る口だと関心していると、秋葉原通りの入り口に差しかかった。 突然、真央の携帯が鳴った。 真央は発信者を確認すると、 「あ、ママからだ」 と言って横断歩道の真ん中で立ち止まった。 (あれ?両親は亡くなったんじゃなかったっけ?) そう思いながら、真央を見つめていると後ろから声を掛けられた。 「よう、北の神じゃねーか」振り向くと、ベルファイアのオッサンが室内犬を小脇に抱え立っていた。 「ああ、昨日はどうも。」後に、軽く会釈をする割腹のよい女性が立っている。 「あれ?昨日の看護士さん?」 「ああ、昨日の若いカップルの」 そういってベルファイアのオッサンに昨日の説明をする。 「ほぉ・・ちゃんと飯は食わネーと・・だめだぜ。ああ・・こっちは俺の姉さん。今日はアイドルのステージが見たいってんで、駅まで向かえに行ってこれから行く所だ。」
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