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「それまで!」
道場内に、制限時間を告げる審判の声が響く。激しく打ち込んでいた青年が木刀を引き、相対していたひどく小柄で童顔の青年も四尺程の杖を下げた。
「……伍長、ありがとうございました」
「うん、お疲れ様」
中央に歩み寄り、互いに礼を交わす。木刀を使っていた青年は悔しさをにじませながら肩で息をしている。柔和な表情を浮かべて自分を見上げる、伍長と呼ばれた小柄な杖使いとは対照的だ。
「頑張って僕から一本取れるようになってね。はい、次ー」
伍長は額に浮いた汗を拭いながら、集う隊士達に声をかける。その声を背中に聞きながら、青年は居並ぶ隊士達の列へと戻っていった。
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