寂しさはまた、隠心に

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土方「お前が強さって言葉の意味を どう捉えてるか知らねぇが 焦ったところで中途半端な強さしか得られねぇよ。 例えその強さが得られても お前の強さは俺達にはまだ弱すぎる。」 『………………』 まるで僕を知っているかのように そいつは口々に言葉を続ける。 土方「強さってものは与えるもんじゃねぇ。 己で勝ち取るもんなんだよ。」 そう言ってそいつはふっと笑った。 少し分かっていた気がしてたんだ。 僕が先輩たちにいじめられても 僕が体中に痣を残していても 周助さんや近藤さんは 何も言わなかった。 どこかへお出かけしていた日が多いから あまり僕を気にかけてはいなかったと思うんだけど。 でも、それでも。 帰ってきても僕には何も言ってくれなかった。 何も教えてくれなかった。 自分で立ち上がろうという強さを 近藤さんたちは見ていたのかな? 見てくれてたのかな……? 土方「……あいつらは僻むんだよ。 ガキのお前が近藤さんのお気に入りだから。」 『……ふっ』 僕は少し笑って頭を掻いた。 本当、近藤さんは意味わかんない。 僕なんかを気にして…… 『…………自分も充分餓鬼じゃん。 土方………さん………』 土方「!!!! ……ふっ言ってくれるじゃねぇか。」 そう言ってお互い笑った。
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