寂しさはまた、隠心に

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土方「近藤さんから聞いてる。 宗次朗、お前自分から試衛館に来たらしいな。 しかもみつさんの反対も押し切って。」 『………………』 そいつの口から出るその言葉に 僕は眉を寄せる。 土方「そんなお前を近藤さんは心配してたぞ。 自分は試衛館を空けることが最近増えて お前の面倒を見ることが減ったってな。 だから、俺が来たんだよ。」 『……………』 ……近藤さんが僕のことを? どうして……? それに……… こいつは何で僕のために……? 僕はそいつをじっと見て目をそらす。 『……僕のために君が来たの?』 土方「……君……だと……。 あぁ、まぁ、そうだな。 お前の面倒を見ろと言われてな。」 ギュッ 僕はそいつの言葉に拳をギュッと握る。 ザッ 『……僕は面倒を見られるために 試衛館に入ったんじゃない! 近藤さんが見られないから 君が代わりに僕を見るなんて…… そんな理由で僕に手を回さないでよ! 僕はそんな理由で試衛館に 入った覚えはない!!』 僕は叫ぶように言った。 僕が子供だから世話をするために 試衛館に身をおいたと思ってるの? 勘違いするなよ…… 苛々するなー… 土方「……とんだ餓鬼だな、お前は。」 『!!!!……なんだ……と……』 僕は歯を鳴らしてそいつを睨みつけた。 土方「こんな餓鬼が強くなるために 何を焦ってやがる? 焦ったところで何の強さが得られるってんだ。」 『………え…?』 そう言って溜息を吐きながら そいつは僕を睨みつけた。
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