序章 - near daybreak -

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 彼等はこんな所を、こんな状態でかれこれ数時間歩いていた。少年の体力は限界が近く、時折砂に足を取られ、覚束ない足取りだ。 「仕方がないだろ?貴様は本当にワガママ王子サマだな」  薄紫色の長髪をかきあげ、長身で筋肉質な男が、眼鏡の青年に応じた。 「そう言うお前こそ何様だ?俺に意見するなんて……」  長身な男の嫌味に、眼鏡の青年は怒りを露わにした。睨み合い、今にも戦闘に突入しそうな勢い。それを見兼ねて、少年は小さな身体で、二人の間に割って入った。 「二人とも、止めて下さいって!こんな大変な時にっ!!」  この台詞を聞いた途端に、二人はお互いに睨むのを止めた。その代わり、視線を少年に移す。
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