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すると、大きく頷きにこやかな顔になり口を開いた。
「……よし。小林先生、顧問になってください」
「えっ? 顧問?」
天羽の唐突な提案に驚く小林だったが、顧問と言う言葉に小さな期待が生まれていた。
((天羽さんはお世辞にも絵は上手いとは言えけど、美術の授業に出ているくらいだから絵を描くことに関して、何か思い入れがあるのかも。じゃあ顧問っていうのはもしかすると……))
美術に関してではないか、小林が期待に胸を膨らませていると楠木が天羽へ振り返った。
「天羽ちゃん、そんな突然に言ったら何の顧問か分からないと思うよ?」
「そう? この部屋の様子を見れば、大体の察しはつくと思うけど?」
「部屋の様子?」
改めて小林は見回し、部屋の中を確認した。
現在は使用されていない教室は山積みにされた段ボールとハンガーラックがある。
ハンガーラックには何やら手作りらしい服が掛けられ、山積みにされた段ボール箱の中から何かがはみ出している。
「一応説明しますね。私達はこれから演劇部を作ろうと思っているんです。それで顧問を小林先生にやってもらいたいんです」
箱からはみ出しているものがウィッグだと気付いたところへ、天羽の説明が小林に追い打ちをかけた。
「演劇、部?」
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