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【デイリィ7】
職員用昇降口で靴を履きながら、小林は顧問の件について考えていた。
((演劇部の顧問になって背景を描けば美術部の宣伝になる。それに僕じゃない顧問が決まるまでだし……やってみようかな))
明日の昼に天羽と楠木を呼んで顧問になる旨を伝えよう、と考えていると3人の女子生徒が現れた。
小林と同じくらいの背でショートヘアの女子生徒を中心にして、標準身長の女子生徒が両脇を囲んでいる。
漢字でいうなら山の字状態だ。
山の字トリオは小林が職員用昇降口から出てくるのを見計らい小走りで近寄ってくる。
「小林先生、やっと見つけたぞ。全く手間をかけさせてくれる」
少し男勝りな雰囲気の女子生徒が割と低めの声で言った。
言葉の割に嬉しそうなショートヘアの女子生徒は咳払いをする。
「いや、申し訳ない。実は先生を探していたのだ。話があるのだが、少々時間をいただいてもいいだろうか?」
「いいだろうかって言われても……」
「玲子お姉さまのお誘いなんですよ!?」
「断る訳ないですよね!?」
小林が返答に困っていると、真ん中の女子生徒の両脇を固めていた付き人の様な2人の女子生徒が食って掛かってきた。
「い、いや、そうじゃなくて。まず名前を聞いてないからじゃないかなと」
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