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「そうだった。私の名前は惟瀬玲子(ただらい れいこ)。雷壬高校2年で、これからある部を発足しようとしているんだ」
自らの両脇にいる恐らく1年生であろう女子生徒をなだめる惟瀬。
その惟瀬に対し、小林はある推測を口にした。
「もしかしてだけど、僕に部活の顧問になってほしい、とか?」
「ほう、小林先生は頭が切れるようだ。話が早くて助かる。そう、これから我々が作ろうとしている歌劇部の顧問になっていただきたい」
((デジャヴだ。ほんの数十分前のデジャヴだ))
「実はうちの学校には顧問をしていない教師がもう小林先生しかいないのだ」
「えっ!? そうなの!?」
「小林先生は今年うちの高校に来られたのだから知らないのも無理はないだろう。だが、我々の様な新しい部を発足しようとしている生徒は皆当然知っていることだ」
((じゃあ、天羽さんの言ってた一時的っていうのは嘘なのか……))
妙なところで落胆している小林に気付いていないのか、惟瀬は説得を続ける。
「だから是が非でも先生には顧問になっていただきたい」
「なってくれますよね!?」
「なりますよね!?」
「か、考えさせてくれ!! 返事は明日ということで!!」
詰め寄る3人の女子学生から、その一言を残して小林は逃げ出した。
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