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【デイリィ3】
日が暮れて西日が差し始め、放課後を告げるベルが鳴る。
職員室にて、小林は再び机に突っ伏してため息をついていた。
理由は1つ、部活を作るにあたって決定的な問題にぶつかったからだ。
「美術をやりたい学生がいないんじゃ、部活なんて作れないじゃないか~」
今になってようやくその事に気付き、朝の体勢に逆戻り。
ただ、朝とは違い隣にいた女教師の姿がない。
ソフト部の顧問としてグラウンドで生徒たちに喝を入れているころだろう。
そんな女教師の代わりに小林の後ろにはボサボサ頭の用務員が立っていた。
「まあしょうがないじゃないか。そもそもちゃんと学生に声かけてみたのか?」
「興味がありそうな子にはかけてみたさ。でも、いつの間にか僕への質問コーナーに変わっちゃってるんだよね」
「チッ」
用務員兼小林の幼馴染、片桐賢太郎は舌打ちをして手に持っていた箒で小林を小突いた。
「いたっ。何するんだよ」
「うるせぇ。たく、お前は昔からそうだな」
「何がだよ? っていうか片桐も昔と変わらないじゃないか。はぁ……それよりどうしようかな美術部」
「やりたいっていう生徒が来るのを待つしかないだろう。ほ~ら、掃除すっからさっさと出てけ」
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