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【デイリィ4】
翌日の昼休み、昼食を終えた教師達が次の授業の準備をしている職員室で、小林は学生達が描いた絵を見ていた。
小林の担当する美術は選択教科なので、男子よりも女子の比率が多い。
そのためか、美大出身の小林に言わせればまだまだの領域だが、肖像画、自画像、風景画、なぜか小林の似顔絵まで、様々な作品があるが皆それぞれ光るものがある。
「う~ん、これはどこなんだろう?」
ただそんな中にも例外はあるもので、小林は全て見終わった後にある作品を手にしていた。
その絵は風景画のようだ。
色があれば分かりやすかったかもしれないが、鉛筆だけで書かれているので分かりにくい。
頑張って解読した結果、大きな建物の様なものの中で、極小の人の様なものが踊っている絵だろうと判明した。
「物語のワンシーン?」
「みたいだな」
「あ、片桐。なんでここに?」
いつの間にか、片桐が小林と同じように作品を覗いていた。
「ちょっと校長に呼ばれてな。それよりまた凄い絵だな。お前がなんか言わなきゃ俺なんか絶対わかんなかったぜ」
「僕もなんとなくだけどね。え~っと、この絵を描いたのは……天羽千鶴さんっていう1年生みたいだ」
「天羽千鶴? なんだ、あいつここの高校受けてたのか」
「知り合い?」
さも知り合い風な片桐に問いかけると片桐は腕を組んで唸り始める。
「あ~……。まあ、知り合い、だな。従弟の娘だから」
「またちょっと遠いなぁ」
「俺だってそう思ってるよ。とりあえず千鶴はちょっと変な奴だから気を付けろよ。んじゃ、ちょっとボイラー見てこなきゃいけないから俺はいくぜ」
そう言い残し片桐は職員室を去って行く。
残った小林はもう一度天羽千鶴の作品を眺めて、ある事に気付いた。
絵は全体的に急いで描いた様な形跡がある。
「もしかして……あの時、僕のことを見ていた生徒かな?」
などと考えていると休み時間終了を告げるチャイムが鳴った。
昨日と同じ轍を踏まないように授業の準備をした小林は、急いで美術室へ向かった。
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