0人が本棚に入れています
本棚に追加
/16ページ
【デイリィ5】
「ふぅ、結局天羽さんに話しかけられなかった」
放課後の廊下を歩きながら小林はため息をついた。
美術室では他の生徒の相手をしているうちに授業が終わり帰られ、休み時間に立ち寄ってみたものの、他の生徒に質問攻めにされて天羽の教室へ近づくことさえできないしまつだったのだ。
「なんで睨まれてたのか、理由を聞きたいんだけどなぁ……」
何か気に障った事でもしたのかもしれない、と後ろ向きなことを考えながら曲がり角を曲がると、
「危な~い!!」
女性の大声、小林の体に大きな衝撃が走る。
文系の小林はその衝撃に耐える事が出来ず、少女のタックルに跳ね飛ばされ壁に頭を打った。打ち所が悪かったのか、薄れていく意識の中で、最後にタックルしてきた少女の顔を見た。
「天羽、千鶴……さん?」
一言振り絞り小林の意識は完全に途絶えた。
最初のコメントを投稿しよう!