傷と、痛み

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「もう、嫌……!」 それは、要がしっかりと耳にしたリアの初めての声。 「なんで、私ばかりこんな目に遭わなきゃいけないの? 私が何をしたって言うの?」 「お前、何を……?」 「みんな、私の体を弄って、何が楽しいの?」 それで要は完全に理解した。リアのトラウマになっているものは、医者――というより白衣をきた人間だ。 恐らくそんな奴らにいい様にされて来たのだろう。 何年もの間、一人で、頼るものもなく実験台として生きてきたのだ。 心は廃れ死んでいき、生に希望を持てる道理などありはしない。リアの嘆きは最もだ。 なぜ彼女ばかりがそんな目に遭わなきゃならない。 ――理不尽だ。 要は激怒した。今すぐにでもリアを苦しめた連中を全員弾丸で打ち抜いてしまいたくなった。 「よく聞け。俺はお前を実験台にしようなんて考えてはいない」 「嘘だ! みんなそう言って、何回も騙された!」 言葉の一つ一つが重い。彼女の悲しみは計り知れない。それでも要は諦めずに説得する。 ――俺はお前を苦しめたやつらとは一緒にならない!
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