誰がために

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リアはすべてのアトラクションを制覇しようとした。ジェットコースター、コーヒーカップ等々。 付き合わされる要の方が疲れていた。体力差では圧倒しているのに、どういうわけかリアには活力が衰えていないようだ。どうやら、好きなものに向かうと彼女はとても活発になるようだ。 残すは観覧車のみ。日も落ちかけてきている。締めにはいいだろう。 乗り込むとリアは要の対面ではなく、側面――隣に付いた。そしてすぐに目を閉じる。気づけばリアは可愛らしい寝息を立てながら、要の肩を借りて眠っている。心が穏やかになる程安らかな寝顔は夕日を浴びて普段よりも艶やかだった。金髪に光が反射し、輝く。それは一種の芸術とでも表現しようか。 慈しむように見つめる。
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