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『!』
敵は仰天して腕を取ろうとするが、要の腕力は屈しない。ナイフを引き抜こうとするが、動かない。一ミリも動かない。
『これほど傷を負っているのによくやる』
「俺は……貴様のような奴らを殺す」
右手と血に染まった左手を用い、相手の腕を折った。敵はその苦痛に耐え切れず、ナイフを手放してしまう!
要は飛び起き、脱兎の勢いで銃を拾い、容赦なく発砲。腕の負傷により体幹が狂ったのか的は動作が鈍くなっていた。
一発、二発――
薬莢が全て落ちるまでには、一体の肉塊が出来上がっていた。合計六発。これで打ち止めだ。
「……待ってろ、すぐに行く」
息が苦しい。裂かれた部分は痛みというよりは、壮絶な熱を持っていた。元来た階段を降りきったところで要の意識は過去へと向かう。
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