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「――要!」
部屋のドアが勢いよく開く。リアだ。すぐさま枕の下に引っ込める。
「よう……」
「よう……じゃないよ! 心配したんだからね!」
「ここは病院だ、静かにしろ」
「うるさい!」
「さて、夫婦喧嘩は犬も食わないというし、邪魔者は消えるとするかね」
呆れも何もなく去っていく那由多を見送ると、静寂が支配した。要もリアも口を開かない。
「……」
「……」
「……」
「……ねえ、要」
「なんだ?」
「要が怪我したの私のせいなんだよね?」
「那由多から聞いたのか?」
リアは首を横に振る。
「私が那由多に聞いたの。もしかしたらそうなのかもしれないって。那由多は気にするなって言ってたけど」
「……」
リアは要の知らない顔をした。自責の念を感じている、罪悪感に満ちた面輪だ。要は今まで目にすることがなかった、新しい顔だ。リアは常に無邪気に笑い、悲しみなど無縁なのではないかと思っていたが……。
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