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「お前はどうしたいんだ……?」
眉間に皺が寄る。要は激怒した。
「私が生きてるせいで要が――」
――違う、そんなことを言ってほしいのではない。
「俺のことなんざどうでもいい! お前は、お前自身はどうしたいんだ!」
「私が……どうしたいか?」
「そうだ。命は簡単に投げることができる。だがそれで終わりだ。死んで楽になるなんてのはよくある話だが、死後の世界があるかどうかなんて死者にしかわからん。それなのに死んで楽になれるなんて、おかしくはないか?」
死人に口無しとはよく言ったものだ。本当に死んだ奴しか、人間の行く末を知らないとは。だから要には天国と地獄という概念もない。三途の川? ――バカバカしい。そのような類の話で人を惑わすような奴らには一瞥もくれない。
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