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―コロコロ…
机の上を5Bの鉛筆が転がる…
手に持つのもやっとなくらいにまで
短くなった鉛筆。
買った当時は誰もが憧れるくらいに
背高のっぽで
なかなかない“5B”という濃さに惹かれて思わず手に取った。
5Bなんて濃過ぎて普段の授業では全く使えない。
なぜなら、瞬く間に手の側面が
真っ黒に染まってしまうからだ。
一度、読書感想文を書くときに
どうしても使ってみたくて
真っ白な作文用紙を灰色にしてしまったことがあった。
だから、この鉛筆は気ままに絵を書く時間だけの相棒である。
…風通しの良い窓際の席で、短い鉛筆がシャッシャッと私の気持ちをスケッチブックに映していく。
いつでも、この鉛筆は何でも私の気持ちを理解してくれる。
私みたいな根暗で影の薄い人間にとって、その鉛筆が“唯一”の友達のようなものだった。
―そう
私には友達と呼べる人なんていない。
だいたい、自分とこの鉛筆以外、信じられるものがない。
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