根暗少女と濃い鉛筆

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そんな私を周りの人は 「可哀想な子」とか 「寂しい子」とか 勝手にいろいろ言うけど、 「寂しい」感情なんてかなり前になくした。 いや、“なくした”と言うより、“消滅した”と言うほうが私に合う気がする。 だって…その方が重いから。 「…さん、中野さん」 いったい、何年ぶりにこの学校の生徒に名前を呼ばれただろうか。 声のするほう…つまり右側に顔を向けると、 “こんな子、クラスにいたっけ??” と思うような、かっこいいと言うより可愛らしい男子生徒が隣の席に座っていた。 「ねぇ、何の絵書いてるの??」 いきなり質問されて、私は思わず目を背けた。 教室中からくすくす笑い声がする…。 「中野さんたら…変な子」 そんな会話があちらこちらから聞こえてくるようで。 きっと私の顔は真っ赤なんだろう。 彼に見えないように俯いて必死に隠した。
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