プロローグ・狭間の世界

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突然。 視界が急激に明るくなり、漆黒の闇が眩い白に塗り替えられる。 耳元でごうごうと音が響く。 体全体に四方から強い風が打ち付けられる。 さっきまでのゆっくりした落下ではなく、空を飛んでいるような激しい、 体がきりきり舞に回転する。上下左右がもみくちゃになって、思わず両腕で顔をかばう。 やがて、視界を埋め尽くしていた白が抜け落ちていく。 真っ白だった下界に、徐々に輪郭が生まれていく。 そこには、世界が広がっていた。 広大な海、赤茶けた大地、深緑の森、うねる雲、空に浮かぶ島。 その光景がどんどん大きくなっていく。細かい部分まで見えるようになってくる。 世界がわたしに迫ってくる。 ああ、 落ちてるんだ、わたし。 鮮明に自覚した途端、わたしの意識はふっつり途絶えた。
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