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「たっだいー…ま……」
笑顔で教室に駆け込んできた椎葉が立ち止まった。
教室の扉を、徐に通り抜ける。
「……また、泣いてんの?」
ハッと頬を伝う涙に気付き、
俺は窓枠から手を離して雫を拭った。
ぱた、と音がして、
椎葉が背後で立ち止まった気配がした。
「はい!泣くならこっち!!」
両手を大きく広げ、カモンと笑う。
何かの引力で誘われるように、
俺は気が付いたら再び椎葉の胸の中にいた。
「ちっちゃんは泣き虫だな~」
よしよし、と背中が撫でられる。
不覚にも、2度もコイツに泣く姿を見られてしまった。
だけど1度見られてるから、もう遠慮は無かった。
「…っさい。黙ってろ…」
「仰せのままに。泣き虫姫さま」
やっぱり、このふざけた言い方はムカつくけど。
椎葉の背中を若干強く叩く。
あはは、と笑いながら頭を撫でてきた。
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