発端

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「アンタの1番は…俺じゃなかった、だけだ」 ジージジジ… 変わらず騒がしいアブラゼミが、 肯定を示すように一層激しく五月蝿くなった。 それすらも掻き消すくらいに、俺は…泣き叫んだ。 「…瞬、……っ好き、だった…ッ!!」 心の奥に、ガチャリと鍵をかけて仕舞い込む。 誰にも知られちゃいけない。 アイツらが、幸せであるように… 俺の片想いなんて、捨ててやる。 セミが、さらに騒がしく「泣き」叫んだ。 .
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