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俺が黙って俯いていると、
アイツが俺を呼んだ。
「ちぃ。」
「んぁ?…なに?」
顔を上げると、
心配そうだけど不満そうなアイツと目が合った。
「お前、どうしたの?」
「…なにが?」
夏休みのことだと分かったが、
俺は敢えて気付かないフリをした。
「ちっちゃん、夏休み中ずーっとバイトしてたんだって!」
俺の代わりに朝陽が答える。
それに瞬が「へぇ…」と返事をした。
言いにくいことを俺の代わりに朝陽は答えてくれる。
それはいつものことだった。
窓を割ったときも、宿題を忘れたときも。
(…なのに、何でこんなに…ムカつくんだ。)
俺は何も言わずに、教室へ入った。
後ろで2人が何を言ってようと、構ってられなかった。
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