転校生

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―― 「…らっ…篠原ぁ!!」 「ふぇいっ?」 ガタン!と椅子を引いて立ち上がる。 周りから、くすくすと笑う声がした。 教卓の前に、青筋を立てた担任が立っていた。 「おンまえ…いぃ度胸してんなぁ…」 「す、すぃません…」 激しいBGMが聞こえると思ったら、音楽プレイヤーが再生されたままだった。 どうやらあのまま眠っていたようだ。 ――最近、寝不足だったからだろうか。 しずしずと席に座ろうとすると、待ての声がかかった。 「ちょーどいい。お前、転校生の面倒見ろよ?」 「へ?」 担任の横に長身の青年が立っていた。 彼は今にも噴出しそうなのを必死に堪えた顔をしていた。 おい、と担任が促すと、 転校生の彼が自己紹介を始めた。 「椎葉 晃(シイバ アキラ)って言います!  大阪から転校してきましたが、2年前まで神奈川県民でした!  好きなものはガリガリくんのアイスで、嫌いなものはピーマンです!  ちなみに、A組の山本 朝陽の従兄弟です!  えっとー…よろしくお願いしまーす」 ぱちぱち、とまばらな拍手。 どーもどーもと、椎葉 晃が笑った。 .
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