1609人が本棚に入れています
本棚に追加
「キミたち!担任の先生に言っておくから、
今日の放課後、掃除して帰りなさい!!」
『えぇー?!』と言いたい所だが、
タヌキの意外にも強い眼光に身を竦める。
俺たちは仕方なく返事をした。
(…ってか、コイツのせいじゃね?)
キッ!と隣を睨むと、
椎葉は楽しそうにノートの切れ端に何かを書いた。
ポイッと投げられたそれを開く。
『ちぃちゃん…次も、期待してろよ?』
――って!!全然反省してねぇ!!
バカかお前?!って言おうと思って横を向いたら、
椎葉も俺のほうを向いていた。
『げ、ん、き?』
口パクで聞いてきた。
奴が口角に人差し指を当てて、にっこり笑った。
(…コイツ…俺が元気ないって…思ったのか?)
合ってるけど、
俺の態度はそんなにバレバレだったのだろうか。
瞬や朝陽にバレていないか不安になる。
――でも。
俺は椎葉の目を見つめて、
『あ、り、が、と』
同じように口パクして、笑った。
最初のコメントを投稿しよう!