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「瞬、何か用?」
「いや…別に用って訳じゃねぇけど、」
瞬が口ごもる。
用が無いなら話しかけないで欲しい。
……だけど、それは俺の我侭だ。
瞬と朝陽の2ショットから目を逸らさないよう、
ぐっと我慢する。
不自然に見られないように。
おかしな態度だと考えられないように。
「ちっちゃん、掃除終わるの待ってよっか?」
黙り込んだ俺たちの会話に朝陽が加わる。
助け舟を出してくれたみたいだけど、
残念ながら逆効果だ。
頑張って持ち上げていた顔が、ゆるゆる落ちそうになる。
目の前の朝陽と、俺を比較してしまう。
何で、俺じゃ駄目だったんだ?
身長は大体一緒じゃないか。
髪の感じだって、似たようなものだ。
教えてくれよ。
朝陽に在って、俺に無いもの、
お前を惹きつける魅力は…何だったんだよ。
やっぱり、どうしようもなくなって顔を俯けてしまった。
目の奥が、じわ…と熱くなる。
(やば…泣きそ…)
手で零れる前に押さえようとした時、
「あー!悪い、2人共」
ぐいっ、と腕を横に引っ張られる。
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