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バランスが悪くなって倒れこんだ先は、
椎葉の胸元だった。
「俺、スイートハニィと2人でらぶらぶ掃除すっから☆
っつーことで、先に帰ってろ~」
おちゃらけた雰囲気で椎葉が2人に手を振る。
「あー!!晃、ちっちゃんから離れてよー!!」
「やーだね。朝陽、邪魔すんなよ。
俺はこれからハニィと愛を深めるので忙しいんだよ!」
椎葉と朝陽が言い合う。
俺は軽く現実逃避をして、
椎葉の鼓動と温かさにだけ集中した。
…本当、あったかい。
椎葉の温もりに包まれて、出そうになった涙を堪えられた。
「朝陽。帰るぞ」
背後から、数トーン下がった瞬の声が聞こえた。
「う、うん。」
じゃあね、と俺たちに声をかけて朝陽の足音が遠ざかる。
廊下で瞬を引き止める声が聞こえるあたり、
アイツは一人でスタスタ歩いていったのだろうか。
…んな訳ないか。
だって、抱き合うぐらい…好き合ってるんだから。
ふ、と自嘲の笑みが零れる。
それは椎葉のシャツに当たって砕けていった。
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