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「俺はいつからだったか忘れたけど、
自分がバイだって理解してたし、朝陽にも話してた。
だから相談しやすかったんだろーな。
最初に相談されたのは、中2の5月だった。」
「…ちゅ、…に……?」
初めて朝陽と同じクラスになった時だ。
そう思ったら、さらに疎外感が増した。
今までずっと親友だと思ってたのは俺だけで、
俺は2人の邪魔だったのかな…
パシン!と椎葉が手を叩いて、俺の思考を遮った。
「ちっちゃん!まずは俺の話聞いて!考えは後!!」
おずおず頷く。
少し息を吐いた椎葉が話を再開した。
「えっと、…そうだそうだ。
中2のとき朝陽が泣きそうな声で電話かけてきたんだ。
『どうしよう!僕、ホモになっちゃったかも!』って。
詳しく話を聞いたら、
仲良くなった“シュン”って奴に一目惚れして
1ヶ月経っても、治まるどころか更に好きになった、とかで。」
胸が、ちくんと痛んだ。
瞬は、ほんと格好いい。
見た目とかもそうだけど、
優しくて頼れて、不意に笑ったときとか、キュンてする。
朝陽は、そんな瞬を多分ちゃんと見つけられたんだ。
ガタンと椅子の音がして、椎葉が立ち上がった。
「まったく、この泣き虫にゃんこは…
考えるのは後、つったろ?」
椎葉は俺の脇に立ち、ぎゅっと頭を抱えた。
耳から椎葉の心音が聞こえて、安心した。
「……ごめん…続けて」
一瞬逡巡していたが、再び椎葉が話し始めた。
「それから、ほぼ毎日朝陽から電話がきた。
話は主に“シュン”にどうアピールしたら良いか、だったけど、
3割ぐらい“ちっちゃん”の話を聞かされた。」
「……朝陽…何て言ってた…?」
俺は、邪魔者だった?
不安に思って尋ねた。
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