変態の愉快な日常

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       † 季節は夏、そして時刻は午前七時三十分である。 勿論(普通)の僕は《普通》の制服で《普通》に登校中だ。 萌える新緑、燃える太陽、爽やかな朝の風。 何をとっても最高の日。 なのだが―― ――中学も二回目の夏頃を迎えるとだんだんと通学路が面白くなくなってくる。 天候や季節といった多少の差異はあるものの、毎日毎日同じ風景ばかりだと苛立ちに似た感情さえ沸き上がってくるものだ。 なので、僕は突然工事現場なんかに出くわすと感動し感謝する。 出来上がってくる建物に過度な期待さえしてしまう。 きっとこの建物は出来上がるとこの世に革命をもたらすのだ!と。 しかし結果は毎回同じ。 結局は幸せな家庭がそこには出現するんだ。 そして、その度に僕は大袈裟に肩を落とす。 その家庭に不幸が訪れればいいとさえ思うのだ。 と、そんな戯れ言を考えている間に我が学び舎である真名海中学校がその姿を現し始めた。
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